先日、スカイホームのモデルハウスへ来場された奥様が、「最近の断熱材って発泡ウレタンが良いんですネ。」とおっしゃるので、詳しく伺うと他のハウスメーカーでそう説明されたとの事でした。
確かに、新しい発砲系の断熱材は下記のように熱伝導率の低いものが出てきています。
- フェノバボード 0.019W/mk
- アクアフォーム 0.040W/mk
などです。
古くからある断熱材の熱伝導率は下記のようなものが一般的でしたが、現在利用されている物は密度が高くなってきて矢印右のような数値になってきているものもあります。
- 3.グラスウール(10k) 0.050W/mk → (高性能16k) 0.038W/mk
- 4.ロックウール(ブローイング) 0.040W/mk
- 5.スタイロフォーム(3種b) 0.028W/mk
さて、上記の断熱材は値の小さい物ほど熱を伝えにくいので高性能ですが、実際住宅に使用する場合これらの高性能断熱材を使えば良いかは別問題です。
なぜなら、熱伝導率は厚さが同じ場合の比較値だからです。
1mの厚さを持つ断熱材の両面温度差が1℃の場合に何W熱が伝わるかの指標なので、厚さが問題になります。
実際に住宅の壁や天井から抜けていく熱量を計算するには熱貫流率を用います。
壁であれば、内装から壁下地、断熱材、構造材、外壁材などの全材料について熱伝導率と厚さ・面積などからそれら複合物の熱貫流率を計算するのですが、ここでは単純に断熱材単体で比較してみましょう。
現在も一般的なグラスウール(10k)が100mm入っている外壁の場合の熱貫流率なら
0.05W/mk ÷ 0.1m = 0.5W/㎡k
1.のフェノバボードなら同じ熱貫流率にするために
0.019W/mk ÷ 0.5W/㎡k → 0.038m で38mmで足ります。(従来の38%)
2.のアクアフォームなら
0.040W/mk ÷ 0.5W/㎡k → 0.08m で80mmで足ります。(従来の80%)
ですが、柱間の厚みは105mmから120mmあるので、従来と同等にするためなら高性能品を使用する必要性は無く、新製品は価格も高価なため逆に不経済となります。
これらの高性能品を利用すべきは、新築の場合なら高性能な断熱仕様にする為に、既存住宅の断熱改修の場合には外壁外へ外張りするしかないような時に厚さを少なくして耐荷重を減らす為に用いると効果を発揮すると思います。
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逆に、気密施工能力が低いので発砲系の気密性能に期待しての施工であれば、要注意です。
気密に関するノウハウがしっかりあるのか、気密施工技能の実績を確かめたくなりますネ。
(単なる自慢ですが、スカイホーム超断熱の気密性能は、0.16です。(^_^)v )
発泡系だからといって防湿バリアが不要とは一概に言えませんし…
また、発砲系製品は燃焼性が比較的高いため、隣家が近接している場合には類焼可能性も有り、全体に使うのは危険性が高いと考えられます。
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では、須坂市(新基準では3地域)で最新断熱基準に適合する外壁(木造軸組に充填工法)には、それぞれどの位の厚さが必要か再確認です。
- フェノバボード 45mm
- アクアフォーム 95mm
- グラスウール 119mm (高性能16k → 90mm)
- ロックウール 95mm
- スタイロフォーム(Ⅲ種b) 67mm
何れもまだ、柱間に納まりますネ。
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スカイホームの超断熱と比較してみましょう。
外壁の場合、ロックウールブローイング300mmを施工していますので、単純に熱貫流率は・・・
0.040W/mk ÷ 0.3m = 0.13W/㎡k (一般的外壁の380%)
同等の性能には下記の厚さが必要です。
そして、右の価格は平均的な37坪の住宅外壁に施工する概算費用です。
- フェノバボード 143mm 132万円
- アクアフォーム 300mm 105万円
- グラスウール(高性能16k) 285mm 53万円
- ロックウール 300mm 94万円
- スタイロフォーム(Ⅲ種b) 210mm 127万円
発泡系の製品は材料費が高く、旧来の製品は汎用品のため廉価です。
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まとめです。
- 断熱材は熱伝導率だけでなく、必要な厚さについてもチェックする。
- 防火性能についても考慮する。
- 所定の性能に対する費用(費用対効果)を検討。
- 以上を踏まえて、適材適所を選定する。
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以上の内容を先の奥様へお伝えしたところ、「よ~く判りました。」と仰って下さいました。(^_^;)
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