2021年12月9日木曜日

超断熱煙突の制作と薪ストーブの幕内へのインストール⑤超断熱煙突(3重煙突)のDIY後編

  それでは後編に続いてまいります。

前回、薪ストーブの住宅において断熱煙突が主流というお話をさせて頂きました。

ですが、この住宅の断熱煙突に2重はありますが

3重の断熱煙突は僕が知る限り市販されていません。

3重煙突の必要性ですが

わかりやすいように下の汚い図で説明したいと思います。



一般的に断熱煙突と言うのは2重です。

2重煙突と3重煙突の違いは図のように空気層を1層持たせております。

この空気層と言うのは実は物凄く大切で

住宅の断熱にもおいても大変重要です。

なぜかと言うと

空気の熱伝導率が極めて低いからです。

熱伝導率なんて言ってもなかなか分かりずらいと思いますので。

簡単に言うと熱の伝わりやすさを言います。

例えばアルミの鍋をガスコンロで熱すると鍋がすぐ熱くなります。

水や空気は逆に熱っしてもなかなか温かくなりません。

以下の数値は熱伝導率の表になります。

数値が高ければ熱が伝わりやすく

逆に数値が低ければ熱が伝わりずらいという事になります。

数値が低ければ低いほど断熱性能も高いということです。



材質

熱伝導率

(単位:W/m・k)

ダイヤモンド1000~2000
420
398
320
アルミニウム(純アルミ)  236
真鍮106
ニッケル91
67
チタン17
ステンレス(SUS304)16
ガラス1
0.6
木材0.2
空気0.024



表を見るとダイヤモンドの鍋ならお湯もすぐ沸かせられますね (笑)

鍋やヤカンに安価なアルミが使用されているのも理由がわかります。

鉄よりも熱伝導率が高いからです。





ただ鉄はアルミより優れた点がいくつかあります。そう保温力です。

鉄のスキレットは料理を長時間温かく保ってくれます。




熱伝導率の表をみてわかるように空気は圧倒的に他と比べて熱を伝えません。

実は空気は最強の断熱材なのです。

前回ドラフトを制する者は薪ストーブを制すると皆さんにお話しました。

煙突内に空気層を設け3重にする事によって60㎜の煙突が外の冷たい空気に冷やされること

なく、力強い上昇気流のドラフトを得られるのです。

加えて煙突が冷やされる事もないので煙突内のタールやススも最小限に抑えられます。

もちろんテント内は外と違って温かいので煙突を断熱する必要もないですし

むしろ無断熱のシングルの煙突の輻射熱によってテント内を暖める事ができます。




ちなみにダウンジャケットも空気があるからこそ温かいのはご存じでしょうか?

話はまた脱線しますが ダウンジャケットにも実はきちんとした着方あります。

皆さん知ってらっしゃいますか?

ビックリされるでしょうが、実は薄着の方が保温性が高まります。

ダウンジャケットの中綿には、水鳥の胸部分から採取した羽毛(down)が使われています。

たんぽぽの綿毛のようにふんわりとした羽毛は、外からの空気をたっぷり含み、

空気の層を作り出す性質をもっています。

空気層は体温が外に放出されるのを防ぐ一方、

冷たい外気を遮断する「断熱材」の役割を果たすため、

長時間にわたって暖かい状態をキープすることができるのです。

逆に、厚着によって地肌とダウンジャケットの間に距離ができると、

すき間から熱が逃げるため、保温性が大幅に低下してしまいます。

重ね着をして保温性を高めるつもりが、かえって寒く感じるかもしれません。

ダウンジャケットを着るときは、厚着は控えましょう。

住宅にもいくつか空気層があります。

建物の外周部に空気層がありますし、窓にも空気層があります。

これは当社の住宅で使用しておりますYKKさんのAPW430という窓です。


当社はYKKさんの強い勧めもありまして

他の住宅メーカーさんより、いち早くこのトリプルガラスを採用いたしました。

元々は北海道でしか取り扱っていない商品でした。

このトリプルガラスの超断熱サッシですが

写真のように三枚のガラスによって構成されております。

それぞれにアルゴンガスが注入されているのですが、このアルゴンガス

先ほど空気が最強の断熱材とお話しましたがそれを大幅に上回る数値です。

0.016です。空気の最強を超え最強伝説かもしれません 笑

実は我が家の窓もこのYKKのトリプルサッシAW430の窓なのですが

本格的な冬場でもガラスに触っても全く冷たくありません。

もう、これ以外の他の窓は考えられません。

このアルゴンガスが注入された2重の空気層があることによって

断熱性能を各段に上がります。ビックリするほどです。本当に。

もちろん窓だけでなく他の全ての断熱を考慮しないとこの窓の本来の性能は発揮できません

もちろん価格と性能のバランスも考慮しながらです。

話はまたまた脱線しましたが、

煙突の話に戻り以下の詳細設計を書いてみました (笑)

詳細設計???(笑)



最初は以下の写真のように一番内側の60㎜の煙突周囲に断熱目的で

バイクのマフラーに巻き付けるバンテージを巻いてみたのですが

このバンテージ自体がかなりチクチクするのと、巻いた厚みが厚すぎて

80㎜の煙突にも入らなく空気層も確保できないので断念しました。

ちなみに断熱材に何を選んだかと言うと私はロックウールを選びました。

何故安価なグラスウールを選ばないの??と思う方もいらっしゃると思います。

1つ目の理由はロックウールの断熱性能が高い
2つ目の理由は熱に強く耐火性能に優れている
3つ目の理由はリサイクルができ環境も優しい

ロックウールの中でも私はニチアスのセラカバーSを選びました。

このセラカバーSですが厚みが20㎜なのですが50㎜と同程度の高密度の高性能。


セラカバーSのサイズは、長さ1000㎜厚みが20㎜で内側の直径が100㎜というサイズ

私の80㎜の煙突に巻くにはセラカバーSの内側の直径が100㎜なので

20㎜の誤差があるのでそこはカットしました。(写真右上のように)



セラカバーSの厚みは20㎜なので

80㎜(煙突)+20㎜(セラカバーの厚み)+20mm(セラカバーの厚み)

=1番外側の煙突(120㎜)にピッタリ収まるのではないかと。

このセラカバーSですが、モノタロウで3390円でした。少し高かったのですが、、、

写真のように半割になっていてテープもついているので施工性もとてもよいです。

一番の肝なので奮発しました。

実際予想通りピッタリ収まりました。






断熱煙突の先端部分ですが

雨で断熱材を極力濡らしたくないので これもモノタロウで探しに探して

フタガワ

R管 亜鉛メッキ鋼板 寸法D1 125Φmm、寸法D2 75Φmm  969円




これにしました。先端部分の細い部分は全体的な長さの関係上サンダーで切断しました。


加えてスパークアレスターのこの部分も80㎜の煙突に入らないのでこちらも切断

最後に120㎜の煙突に差し込んできます。



こんな感じで。


下の部分です。耐熱テープ巻いたのですがここは要改善箇所ですね。

蛇腹状の物があれば変えてみます。

本当はこの下部の空気層も塞いで空気を滞留させる事も課題です。


やっとのことで完成しました。自作超断熱煙突の完成です。

ちなみに煙突はステンレスなのですが

シルバーだと少々面白みがないので耐熱スプレーしてみました。


今回も脱線の連続で長くなりましたが最後までありがとうございました。